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左:キジョラン、鬼女蘭。名は蘭ですが、ガガイモ科の植物。種子に長い毛があり、実がはじけると鬼女が髪を振り乱したような姿になります。高尾山に沢山生えていますが鬼女はなかなか見つかりません。アサギマダラの食草としても有名です。
右:トキリマメ、吐切豆(マメ科)。秋になると赤い莢を付けるので、目立ちます。中に2個の種子が入っています。
ごく普通に見られる植物ですが、果実はなかなか見られません。左:コヒルガオ、小昼顔(アサガオ科)。植え込みに被さったり、フェンスに絡んだりしています。結実生が悪く稀に実がなります。
右:ヤブカラシ、藪枯らし(ブドウ科)。ヒガンバナや栽培バナナと同じく3倍体で結実しません。まれに2倍体があり実を見ることが出来ます。
(2023.1)
左:ツルウメモドキ、蔓梅擬(ニシキギ科)。名の通り葉がウメに似ています。淡黄色の果実が割れて開くと赤い種子が顔を出します。その様子は美しく、生け花やリースによく用いられます。
右:ヒヨドリジョウゴ、鵯上戸(ナス科)。林縁などで見かけます。秋になると赤い実を付け目立ちます。名前ほどヒヨドリが好むわけではなさそうです。食べられません。
左:ノブドウ、野葡萄(ブドウ科)。林縁などの低木によく絡んでいます。果実は白色ですが、虫が寄生すると青や紫色になります。不味く、野葡萄酒が造られたりします。
右:エビヅル、蝦蔓(ブドウ科)。ノブドウと似ていますが、果実は房状に付きます。葉に切れ込みがありますが、先は丸くなっています。葉の裏に毛があり白く見えます。食べても不味い。
(2023.1)
左:ヤマノイモ、山の芋(ヤマノイモ科)。雌雄異株でこれは雌株。既に果実がかなり育っています。果実は3稜でそれぞれ薄く円形の種子が一つずつ出来ます。数年育ったものから自然薯が取れます。葉の付け根にムカゴが出来ます。これも食べられます。
右:オニドコロ、鬼野老(ヤマノイモ科)。路傍でよく見かけるヤマノイモ科の植物です。雌雄異株でこれも雌株。こちらの果実も3稜ですが種子は楕円形をしています。食べられません。
左:ナガイモ、長芋(ヤマノイモ科)。雌雄別株の栽培種。駐車場のフェンスに絡んでいました。いくつかの品種があります。ナガイモもムカゴがとれます。
右:エビヅル、蝦蔓(ブドウ科)。雌雄異株のつる性落葉木本です。前回のノブドウと似ていますが、果実は房状に付きます。葉に切れ込みがありますが、先は丸くなっています。葉の裏に毛があり白く見えます。食べても不味い。
左:ヒヨドリジョウゴ、鵯上戸(ナス科)。全草に柔らかな毛を持ち、花びらは反り返っています。秋になると実が赤く熟して絡んでいる様は美しい。ヒヨドリが特に好きなわけではなさそうです。食べられません。
右:アオツヅラフジ、青葛藤(ツヅラフジ科)。雌雄異株のつる性落葉木本。秋になると実が青黒く熟し、潰すとアンモナイトの形をした種子が一つ出てきます。有毒植物なので気をつけましょう。
(2022.9)
左:センニンソウ(キンポウゲ科) 仙人草。花弁はなく4枚の萼片が花びらのようになっています。低木を覆い、沢山の花を咲かせます。有毒植物。右はヤブマメ(マメ科) 藪豆。林縁や草原に普通。地上の花の他に落花生のように枝が地中に伸びて実を付けます。先ずはその場所で次代を確保しようとする戦略です。
左:ガガイモ(キョウチクトウ科) 蘿藦。日当たりのよい草原や道端などに見られますが、最近とても少なくなりました。5つに裂けた花びらには毛が密生していて夏向きではないですね。果実は紡錘形をしていて10cm程になります。実が二つに割れると内側が光っているのでカガミイモと言われたとする説があります。右はヤブカラシ(ブドウ科) 藪枯らし。フェンスや藪を一面に覆って茂ります。小さい花弁はすぐ散ってしまいますが花が出す蜜を求めて多くの昆虫が集まります。3倍体で実を付けません。稀に結実する株があります。
左:アレチウリ(ウリ科) 荒れ地瓜。北米原産の帰化植物。輸入大豆に混じって入ってきたとされています。河川敷などで繁茂しています。雄花(左)と雌花(右)の別があります。駆除がやっかいな植物です。右:カラスウリ(ウリ科) 烏瓜。花弁の縁が細かく分かれてのびる。日没後に開花して朝にはしぼんでしまいます。赤い果実の中に小槌形の種子が入っています。
(2022.7)
つる植物は他の植物にいろいろ工夫して這い上がります。一面に茂ると親植物を弱らせてしまうこともあります。何回かに分けて紹介していきます。
左はサルトリイバラ(サルトリイバラ科)。茎に棘があって猿も引っかかるとか。サンキライの名でも知られていて、柏の葉の代わりに使われる地方もあります。
右はアケビ(アケビ科)。5枚の丸い小葉が掌状に拡がります。実が熟すると開くので「開け実」、甘くて食用になります。町田の里山ではなかな結実しません。小葉が3枚のミツバアケビも食用になります。実が開かないのはムベ。
左はテイカカズラ(キョウチクトウ科)。手入れの悪い林では大木にびっしり巻き付いています。よい香りがします。生け垣に植えられていることもあります。
右はハンショウズル(キンポウゲ科)。花の形が半鐘(そろそろ死語になりかけている)に似ていると見立てました。出会う機会は少なく、県によっては絶滅危惧種に指定されています。
左はスイカズラ(スイカズラ科)。ニンドウ(忍冬)の名もあります。花は最初は白く、時間がたつと黄色くなります。花を抜いてしゃぶると甘い。
右はノブドウ(ブドウ科)。実は白色ですが虫が寄生すると青色や紫色になります。まずくて食用にはしません。
(2022.6)
イソシギ(左)は映画の題名で名前は知っていました。磯にいる鳥かと思っていたら、境川でもよく見かけることを知りました。腹の白い部分が肩先に延びています。右は、イソシギだと思って撮ったら違っていて、コチドリでした。思わぬ収穫に嬉しくなりました。あまり見かけません。目の周りが黄色く、目立ちます。
人気No1、町田市の鳥にも選ばれているカワセミ(左)です。高みから狙い定めて飛び込み魚を捕らえます。よく見かけるようになりました。ツバメ(右)は飛ぶのが早くて撮れません。巣造りの時期には川に下りて泥をくわえていきます。巣を見つけたら、可愛いひなの写真を狙うことができます。カラスから守るのに苦労しているようです。
(2022.1)
紅葉まつりといいながら赤い葉がありません。紅葉には黄葉も含まれると解釈して。ケヤキ(欅:左)20m以上になる高木。材は堅く木目が美しいので寺社建築や家具などに使われています。街路樹にも多く植えられています。町田市の木にもなっています。エノキ(榎:右)これも20m位になる高木。里山に多く見かけますが、枝が多く横に広がるので街路樹には向いていません。実は甘くて食べられます。
ホオノキ(朴ノ木:左)30mにもなる高木で、花が間近で見られない。単葉としては日本の樹木では最大。朴葉寿司、朴葉味噌などの材料として、また葉が食器代わりに利用されています。下駄の歯にも使われていました。アカメガシワ(赤芽柏:右)古名は楸(ひさぎ)。木偏に春、夏、冬はお馴染みですが、秋は?クイズの種になりそうです。新芽が赤く葉が柏のように大きい。10m位になる中低木で、里山にはたくさん生えていますが、余り知られていない種類です。
里山の代表的な落葉樹で、20mくらいになります。イヌシデ(犬四手:左)幹が灰白色で縦に筋が入ります。花穂がしめ縄につける紙垂(しで)に似ていると見られました。コナラ(小楢:右)古くから薪炭材やほだ木として利用され、定期的に萌芽更新されていました。利用が減って大木が目立つようになりました。近年ナラガレの被害が拡大しています。
(2021.12)
赤い実が下がっている樹木を集めてみました。ニシキギ(左)は名の通り葉も見事に色づきます。茎には翼状の突起が発達しています。右はウメモドキ。葉も花も梅に似ています。実が付いていないと分かりにくい。公園などに植えられていますが、自然状態では少なくなっているようです。
左はイイギリ。かつて葉で飯を包んだとか。高木で、目の高さで見られる所は少ない。葉が落ちても実は枝に残っています。右はカマツカ。堅い材で、鎌の柄に使われます。林縁によく生えている筈だが。なかなか見かけない。果柄にイボ状の皮目があるのが特徴。
(2021.11)
オニヤンマ(左)日本に広く分布する大型のトンボ。悠々と同じ所を行ったり来たり。子供達にも人気です。
シオカラトンボ(右)も広く分布し、誰もが知っているお馴染みのトンボ。メスは黄色で、ムギワラトンボとも言われています。
目玉から尾の先まで真っ赤なショウジョウトンボ♂(左)。メスは地味な茶色。湿地で縄張りを強く守っています。
右はハグロトンボ。茂みの縁でひらひらと頼りなく飛び交っています。止まるときは翅を閉じます。
ノシメトンボ(左)赤とんぼの仲間ですが、赤くなりません。翅の先が褐色になっています。
右はシオヤトンボ。シオカラトンボの仲間で日本特産の春のトンボ。翅の付け根が小さく茶色になります。
(2021.10)
早春のコブシの花は夏になると不気味な形をした実(左)になります。何となく拳に見えますか?秋になると赤い種子が顔を覗かせます。一字違いのキブシ(右)も早春の山で、葉が出る前に小さい白い花を房状に咲かせます。緑色の実は言われないと気づきにくい。秋になると黒くなり、小さな種子が見られます。
道に小さな赤い実が落ちていたので見上げるとウワミズザクラで(左)した。桜とは属が異なります。小さく白い花が房状に付きます。実は赤く、熟すると黒くなります。果実酒にすることができます。右はハゼノキでウルシ科の植物。人によってはかぶれることがあります。かつて実から木蝋が採られました。
(2021.9)
猛暑を喜んでいるのはセミ達です。右上の雄が鳴きながら左下の雌に近づいていきます。ミンミンゼミの恋は成就するのか。しばらく見守っていました。次の瞬間雌は飛んで行ってしまいました。残念でした。頑張れ、彼氏。
アブラゼミの鳴き声は暑さを擦り込まれるような感じがします。林の中より団地の木に多く見られました。ときどき家の中に飛び込んできたりします。
今年はニイニイゼミが多かったような気がします。最初に鳴きだす小型のセミです。この他、クマゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシの声が聞かれます。撮影できたら追加していきます。
(2021.8)
糸蜻蛉の仲間(トンボ目イトトンボ亜目)の4種を紹介します。前翅と後翅がほぼ同じ形で、胴体が細くて丸いのが特徴です。水辺に多く、頼りなげなトンボです。生息環境が少なくなり、数を減らしている種類もあります。ビオトープの主役です。
左はアオイトトンボ(アオイトトンボ科)、広く分布。胸と腹に白粉を帯びています。右はクロイトトンボ(イトトンボ科)。胸と腹の先が青い。これも広く分布しています。
イトトンボの仲間は似ていて、区別するのが難しい。下はカワトンボ科の2種。どちらも広く分布。翅に色がついています。左はニホンカワトンボ。翅の色は褐色ですが、無色のタイプもあるそうです。右はハグロトンボ。名の通り翅が黒い。林の中でひらひら少し飛んでは止まります。
(2021.7)
梅雨の季節は花が少なくなりますが、木苺が熟して散歩のおやつを提供してくれます。イチゴは小さな果実がたくさん集まっている集合果をつけます。いろんな種類があるので、味わって違いを感じるのも楽しみの一つです。左はクサイチゴ、右はクマイチゴです。
左はナワシロイチゴ、農作業と関連したネーミングと思われます。右はモミジイチゴ、淡橙色の実をつけ、癖のない甘みを感じます。
オランダイチゴは木苺の果実を取ると残る部分、果床が膨らんで柔らかく、甘くなり、表面に痩せて種子に見える果実を付けています。
(2021.6)
左はニガイチゴ、右はフユイチゴで、いずれも相模原市で撮影しました。フユイチゴは名の通り、冬に熟します。
この二種は木苺ではありません。左はヒメコウゾ、繊維植物のコウゾに近い仲間です。癖がなくおいしい。右はヤマグワ、熟すると黒くなります。養蚕に使う桑はヤマグワとマグワがあり、よく似ています。これらは皆クワ科の植物です。
(2021.6)
飛んでいるジャコウアゲハ(左)の撮影に挑戦しました。毎年見かけるので、近くに食草のウマノスズクサがあるはずです。境川団地の近くに繁殖場所があると聞きました。右のルリタテハは翅のルリ色の帯が目立ちます。成虫越冬するので、暖かい日には日だまりに出てきます。
コミスジ(左)は3本の白い筋が特徴です。林の周辺などでよく飛んでいます。似た種類がいくつかあります。テングチョウ(右)顔の先が天狗の鼻のように伸びています。図師緑地で休んでいたときに撮しました。日本ではこの一種のみ。成虫越冬します。
(2021.5)
上はシジミチョウの仲間。名前の通りシジミのような小型の蝶。左はミズイロオナガシジミ。翅の裏は白地に黒い筋が二つ目立ちます。表はほとんど濃い灰色です。翅を閉じて止まるので、表は分かりません。右はムラサキシジミ。表は青紫色で黒く太い縁があります。裏は枯葉色ですが、開いて止まります。これも成虫越冬。
左はクロヒカゲ。ジャノメチョウの仲間は翅に蛇の目模様(◉)があります。多くは林の中や縁を飛んでいて、日向は好みません。とれも似ていて、区別するのが大変です。右はコチャバネセセリ。胴体の太い蝶で、素早く飛んでいます。これも区別するのが難しい仲間です。
(2021.5)
あちこちでヤドリギの塊をつけた木を見かけます。ケヤキやサクラの木に宿っています。常緑なので冬になると目立ちます。5ミリほどの半透明の実をつけます。
この実を目当てにレンジャク(連雀)が訪れます。種子の周りは粘液で包まれていて、このまま排出されます。納豆を箸で持ち上げるとつながって上がってきます。そんな感じで枝の上に落ち着いて芽を出すわけです。町田では主にヒレンジャクで尾の先が赤いのが特徴です。キレンジャクは黄色いそうです。まだ出会っていません。
(2021.2)
薬師池公園でカメラマンが集まっているので近づいてみました。初めて見る鳥でイカル(左)と教わりました。大きな黄色い嘴が印象的です。ひとしきり滞在してまたどこかに移動していきました。
右はカワラヒワでスズメに似ています。嘴が白く、飛ぶと黄色い羽が目立ちます。いつも群れています。
左はヤマガラ。かつて、おみくじを引く芸などを覚えさせて飼っていました。枝から枝へ忙しく飛び回っていました。動きの速い鳥は撮るのが難しく、経験を積む必要があります。右はモズ。どちらも一年中観察できますが、夏はやや少ない。
(2021.2)
カモの仲間は繁殖期になると雄の羽色が変わり美しくなります。雌は地味で私のような素人には区別しにくいのです。一緒に泳いでいてくれると同じ仲間だとわかります。
左はカルガモで夏も残って繁殖しています。雛を連れて行列している様子が報道されることもあります。嘴の先が黄色く、腰に三日月型の白い羽があります。右はマガモで雄は頭が緑色で嘴が黄色です。三日月型の模様もあります。マガモの飼育種がアヒルです。野生でもカルガモとの雑種が多く見られます。
オナガガモ(左)の雄は尾羽が細くとがり、嘴の両端が灰色で胸が白く、タキシードを着ているように見えませんか。右はコガモ。一番小型です。カモは声を聞くとがっかりしますが、コガモはピーピーとかわいい声で啼いています。雄は頭が茶色で、緑色の太い帯があります。尻に黄色い三角模様があります。
(2021.1)
トモエガモ(巴鴨、左)はシベリアで繁殖し、冬に飛来します。目の後の大きな緑色の巴形をした模様が美しく、名の由来になっています。絶滅危惧種に指定され、なかなかお目にかかれないようです。オシドリ(鴛鴦、右)は日本北部で繁殖し、冬になると南下してきます。カラフルな羽が美しく被写体としても画題としても好まれています。薬師池では珍しいとの話です。近くで観察できました。
ホシハジロ(星羽白、左)もシベリアで繁殖し、冬に飛来します。頭から首にかけて赤褐色の羽毛に包まれています。胴の部分は白く、目が赤いのが特徴です。潜るカモで、境川では見られません。カイツブリ(右)の鳰(ニオ)は水に入る鳥を意味する和製漢字。本州では一年中止まる留鳥。薬師池でも繁殖しています。羽毛の色は地味で、よく潜り離れたところで顔を出します。カイツブリ科でカモではありません。行動もカモとは別行動。
(2021.1)
茅・萱(カヤ)はイネ科植物の総称で、茅葺きの屋根の材料に使われるのは大型のイネ科植物、ススキが中心になります。その他オギやヨシなどが使われます。麦藁が使われることもあります。藁葺きの屋根がそうです。実際には複数の植物が使われるようです。
かつては茅場といって、ススキ等の草原を維持して何年か材料をためて葺き替えを行っていました。村中総出の共同作業だったようです。そして技術も保存されてきました。今では保存家屋があるのみで、職人も少なくなってしまいました。
ススキ(左上)とオギ(右上)、よく似ていて区別が難しい植物です。オギの方がやや湿ったところを好み、荻原は河原に発達します。写真でははっきりしませんが、ススキは叢生して大きな塊になります。オギは叢生しません。
穂を拡大してみるとススキは小穂から芒が突き出しています(左下)。オギには白く長い毛があり、芒は発達しません。これで明確に区別することができます。
(2020.11)
庭や路傍でよく見かける”雑草”を集めてみました。左はコニシキソウ、右はオオニシキソウ。錦草、茎の赤と葉の緑のコントラストが美しい事から。葉の中央に濃い斑があります。茎を切ると白い液が出てきます。コニシキソウは地を這って広がります。オオニシキソウは大型で枝が立ち上がります。共に北米原産です。
ミチヤナギ(左)は庭や路傍に生え、葉がヤナギに似ているところから名がつきました。葉の脇に小さい花をつけます。ハイミチヤナギ(右)はヨーロッパ原産の帰化植物。これも低く地面を覆います。NPO事務所の駐車場にありました。
(2020.10)
ザクロソウ(左)葉につやがあり、ザクロに似ているとされました。古い帰化植物と考えられています。路傍や畑でよく見られます。ゴウシュウアリタソウ(右)も低く這う名の通り豪州原産の帰化植物。庭や駐車場などに生えています。
スベリヒユ(左)庭や路傍によく生えています。茎や葉は肉質で艶があります。茹でて食べられます。世界中に広く分布しています。栽培種ハナスベリヒユの原種です。アメリカアゼナ(右)は水田の雑草。我が家に浸透枡があり雨が降ると水があふれるので、その付近に生えています。植物は環境に敏感です。北米原産。コロナのおかげで、身近な植物に目が行きました。
(2020.10)
カメムシはくさい虫として知られています。しかし、よく見るとなかなかおしゃれなデザインで身を包んでいます。キバラヘリカメムシ(上左上)は腹が幅広く左右にはみ出して見えています。クヌギカメムシ(上右)は名の通り、クヌギの木で育ちます。ペアに邪魔者が入ったりして。
チャバネアオカメムシ(中左)は作物特に果樹の害虫として嫌われています。キマダラカメムシ(中右)は1956年の昆虫図鑑に”長崎地方のみに産す”とあります。その後分布を広げ、東京でも10年ほど前から記録されています。カメムシとしては大型の種類です。
オオクモヘリカメムシ(下左)はスリムなカメムシ。稲の害虫として知られています。
昆虫は被写体の対象とはしていないのですが、長い間にはなんとなく増えてきました。最後はミンミンゼミ(下右)。え!場違い? いえいえ半翅類でくくると入ってくるのです。ほかにヨコバイやアブラムシ(ゴキブリではありません)が含まれます。
(2020.7)
赤い木の実は目立ちます。マユミは名前も近親感を覚えます。秋になるとピンクの実が割れて赤い種子が顔を覗かせる様子がなんともかわいくて、愛されています。さて、花は? 意外と地味で目立ちません。4枚の薄緑色の花弁に褐色の葯をつけたおしべが4本。花が終わると緑色の四角っぽい実が大きくなってきます。
秋に七国山の近くで赤い実をつけた木を見かけました。名前がわからなかったので、春に花を見てから調べようと思いました。コロナのおかげで、近くの散歩が多くなり、忘れずに訪れました。小さな花でうっかりすると気がつきません。アオハダでした。ヒメリンゴに似ていますが、アオハダは花柄が長いので、区別できます。
(2020.6)
散歩のついでに足元に目をやるといろいろな植物が花を開いています。今回は直径2mmほどの小さな花を集めてみました。写真を撮るのは大変で、少しでも風があると揺れてしまいます。手の震えもあります。オートのカメラはこんな小さなものにはピントを合わせてくれません。何回も試みていると少しピントが合うことがあります。そんな訳で、甘い写真で申し訳ありません。左はノミノツヅリ、右はノミノフスマです。ノミノフスマは5枚の花弁に深い切れ込みがあり、10枚のように見えます。
小さくても構造はきちんとしています。自然は手を抜いてはいないのです。左はキュウリグサ、手で揉むとキュウリの匂いがするというのですが、私の鼻は感じません。花が終わると花茎が伸びてペンペングサのような感じになります。右はタチイヌノフグリ。オオイヌノフグリはよく知られていて、青い可愛い花が一面に咲きます。近い仲間ですが、花はずっと小さく、葉に隠れていて、よく見ないとわかりません。
左はヤエムグラ。あまり写真を撮る気にならない植物です。古歌に「八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり」と詠われていますが、これはカナムグラのことだと考えられています。このヤエムグラも放置されたところでは結構茂ります。右はノヂシャ。固まって咲くので、見つければ目立ちます。これは淡青色ですが、花が白いシロノヂシャもあります。今回はちょっとマニアックだったかな。
(2020.4)
かたかごの森が開園しました。かたかご(堅香子)はカタクリの古名です。「もののふの、八十(やそ)娘子(をとめ)らが、汲み乱(まが)ふ、寺井(てらゐ)の上の、堅香子の花」(大伴家持) かつては里山の斜面一面に咲いていたものと思われ、鱗茎から片栗粉が作られていました。片倉城跡公園では群生の様子を見ることができます。右上のワダソウは神奈川県では絶滅危惧種に指定されています。昨年ここで見たときには感激しました。今年も元気に咲いていました。
左のイチリンソウを見るのも苦労します。緑地や旧家の庭などに少し残っています。花弁はなくて萼(がく)が花弁のようになっています。鶴間公園に群落がありましたが、整備されて無くなってしまったようです。近くの畑にタネツケバナ(右)が咲いていました。最近路傍などミチタネツケバナが大繁茂しています。実の莢が茎に沿って立っているのが特徴です。 (2020.4)
薬師池公園のカタクリを見に行きました。例年より早くちょうど見ごろでした。かつては一面に咲いていたのかもしれません。片倉城跡公園では数万株のカタクリが生えています。柵の外にも広がっていてもっと増えるといいですね。(左からウグイスカグラ、カタクリ、ヒュウガミズキです)
もう一つムサシアブミも目的の一つでした。大型の葉が莢から顔を出して花も一緒に咲いています。年々増えて斜面一面に広がっています。サトイモ科の植物で、ミズバショウやウラシマソウなども仲間です。ヤマルリソウも里山では見かけなくなった植物です。(左からムサシアブミ、ヤマルリソウ、ヤマザクラです)(2020.3)
コロナ騒ぎで用事がなくなってしまいました。既にサクラの開花宣言も出されました。町田でもちらほら咲き始めました。野の花も賑やかになってきました。町中の通りにはセイヨウタンポポが春の日を浴びています。忠生公園ではカントウタンポポを見ることができます。野イチゴの仲間のクサイチゴもフェンスわきに咲いていました。左からセイヨウタンポポ、カントウタンポポ、クサイチゴです。
ヒメオドリコソウはたくさん生えています。オドリコソウは少なくて見つけるのは大変です。ホトケノザは春の七草として知られています。七草のホトケノザは田んぼに生えるコオニタビラコだということです。カキドオシは”垣通し”で、茎をのばして垣根をくぐっていきます。左からヒメオドリコソウ、ホトケノザ、カキドオシです。
(2020.3)
温暖化のせいか師走になっても開花している野草を多く見かけます。散歩のついでにカメラに収めてきました。
左はセイタカアワダチソウです。かつて河原一面を黄色く埋め尽くしていましたが、今はそれほどの勢いはありません。右はヒメジョオンで春に咲くハルジオンとよく似ています。
左はセイヨウタンポポ、在来種のカントウタンポポは春に咲きます。町中で見るセイヨウタンポポはほとんど在来種との雑種と言われています。右はハキダメギクです。至る所に生えているという意味かと思いますが、ハキダメは死語になりつつあります。
左はノハラアザミ。春に咲くよく似た植物はノアザミです。右はコセンダングサで逆棘のついた実をつけ、衣服について困ります。分布拡大の戦略なんです。
気がついたら全部キク科の植物、しかもノハラアザミ以外はすべて外来植物でした。刈り払い圧の強いところは外来植物で占められる傾向があります。
(2017.12)
ハハコグサ(左)は春の七草の一つオギョウで古くは草餅を作るのに使われていました。牧野説では冠毛が毛羽立つところからホウコグサと呼ばれたことに由来するとされています。全草長い綿毛に覆われているのが特徴です。チチコグサ(右)は花が上部に集まり、葉が放射状に広がって見えます。
この平和な親子の家族に最近いくつもの外来種が侵入してきています。左はウラジロチチコグサで、葉の表面は濃い緑色で裏面は白いのが特徴です。中央はチチコグサモドキ、右はタチチチコグサ(立ち父子草)区別するのは難しいですね。この他、私は実物を未見ですが、セイタカハハコグサ、ウスベニチチコグサもあります。在来種のアキノハハコグサは絶滅危惧種に指定されています。ハハコグサ属(Gnaphalium)も賑やかになりました。
(2017.5)
古歌に”山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば”と詠われていますが、地表で放射状に葉を付けたロゼット姿で冬を耐えている草もたくさんあります。今回は、寒中にも関わらず開花している植物を求めて歩いてみました。左はノゲシ、右はオオイヌノフグリです。
ほとんどがまだロゼットなのに茎をのばして開花しているハルジオン(左)を見つけました。慌て者がいるんですね。ホトケノザ(右)は春の七草のひとつで、早くも花を付けています。陽だまりの南斜面の草地を丁寧に探すと結構小さい春を発見することができます。 (2017.1)
名前が目出度いので、お正月の飾りに使われるセンリョウ(左)とマンリョウ(右)です。センリョウは暖地の林内に生え、赤い実が上向きにつきます。オレンジ色のものもあります。マンリョウも林内に生え、赤い実が下向きにつきます。栽培種には黄色や白色のものもあります。葉の縁が波打っています。百両(カラタチバナ)、十両(ヤブコウジ)、一両(アリドオシ)は俗称です。
ここからは名前つながりとはいえ、少々マニュアックです。いずれも町田市にはなく、相模原市の山中で撮影しました。神奈川県でも珍しいものです。左はイズセンリョウで、常緑樹の林内に生えます。葉の腋に白い実をつけます。右はオオバマンリョウで伊豆大島にあり、マンリョウよりやや大型です。センリョウだけがセンリョウ科で他はヤブコウジ科に分類されています。 (2016.12)
野菊を探しに出かけました。この仲間は分類が難しく、定まっていない部分もあるようです。花の色をはじめとして、冠毛の長短、葉や痩果の様子などを調べる必要があります。楽屋話はともかく、野菊に出会うのは意外と大変なことが分かりました。明るい道路きわで林の縁を好み、そのような場所はきれいに刈り払われていることが多いのも原因かもしれません。左上はカントウヨメナ、右上はシロヨメナ、左はノコンギク、右はリュウノウギクです。
ヨメナは本州以西に分布しています。忠生公園で見たのはカントウヨメナで、西日本のカンサイヨメナと区別されています。シロヨメナも広く分布している野菊です。山崎団地の小さな林で撮影しました。ノコンギクは小山内裏公園に植えられています。これら(Aster属)は花だけで区別するのは困難です。リュウノウギクは栽培菊と同じDendranthema属で、独特の香りがあります。この写真は栽培逸出の可能性があります。
最後はシラヤマギクで、左の欄に紹介しているオヤマボクチと一緒に生えています(三ッ目山公園)。茎下部の葉は葉身がハート形で長い柄があります。これはAsterです。この他ユウガギクと帰化種のホウキギクの仲間が町田で観察できるAster属の主な野菊です。(2015.11)
タネツケバナ(種漬花-左上)は普通に見られる植物で、種籾を漬ける時期に開花することから名付けられました。アブラナ科の植物で、花が終わると円柱状の長い果実(長角果)ができます。近い仲間にミズタネツケバナ、オオバタネツケバナ(写真右)、タチタネツケバナなどがあり、分類の難しいグループです。
1990年代から写真左下のミチタネツケバナが知られるようになり、瞬く間に勢力を拡大して、道路添いを中心にして、我が物顔をしています。長角果が開出せずに茎に沿って立つのが特徴です。物流が盛んになるとともに外国から多くの植物が入り込み、定着して生態系を攪乱しているものがたくさんあります。ミチタネツケバナもその一つです。(2015.4)
ロウバイを見に忠生公園臘梅園を訪ねました。ろう細工のような花びらが特徴です。中国原産の落葉樹ですが、花期にもかなり葉が残っています。12月末から開花しお正月に花見ができます。ウメの仲間(バラ科)ではなくてロウバイ科として分類されています。
ロウバイは中心の花びらが茶色くなり満月といわれるものがそれに当たるようです。忠生公園でマンゲツと名札がつけられているもの(左)でははっきりしません。色が抜けているのが素心臘梅だそうです。園芸的にはいろいろあって必ずしも明確ではありません。他に北米原産のクロロウバイがあります。これは6月頃咲きます。(2015.1)
左はアカボシゴマダラ。40年前の図鑑では奄美大島に分布する蝶でした。近年よく見かけるようになり、すでに関東一円に拡がっているようです。人工的に放蝶されたことがわかっています。右はツマグロヒョウモン。かつて本州西南部に分布していましたが、今や町田でも普通に見かけるようになりました。温暖化の影響かもしれません。雌は前翅の先(褄)が黒くなります。
左はミドリヒョウモン。今年何十年ぶりに相原で見かけました。山地の蝶かと思っていたのですが、久しぶりの出会いでした。右はメスグロヒョウモン。名の通り雌雄で模様が異なり、雌は地味な色をしています。小山田緑地で見ました。(2014.10)
三ツ目山公園の芝生広場に10本ほどのヒメシャラの林があります。何故かその西側だけ草の生え方が他と違います。そして年によって繁る草の種類も違うのです。数年前、最初に作業に入ったときはオオブタクサの林でしたが、今年はギシギシの大群落でした。それはともかく、ヒメシャラ(左)は落葉性のツバキで樹幹が美しいので、庭木としてもよく植えられています。近い仲間にナツツバキ(右)があります。この方が花も実も大きいので区別できます。
あまり見かけない木です。右の写真のように30cm以上にもなる長い実をつけます。形が似ているとしてキササゲと命名されました。といってもノウゼンカズラ科なので、種子はマメではなく平たく両端に長い毛があります。中国原産で「梓(アズサ)」の字が当てられ、材は版木に使われたので、本を出すことを上梓といいます。今井谷戸にあります。 (2014.6)
生えているのも気がつかないほどの野草に小さな小さな花が咲いています。デジカメで撮影するのは大変です。何回も撮り直してやっとこの程度です。小さいながらきちんと各パーツが揃っています。左はキュウリグサ、もむとキュウリの匂いがします。右はノミノツヅリ、葉が蚤の衣服になるほどという意味らしい。ともに一般には抜き去る雑草としか意識されていないかもしれません。
これはご存じの人も多いヒトリシズカ。茎の先に2対でる大きい葉と1本の花穂が特徴です。フタリシズカは2本の花穂がでます。花びらはなく雄しべと雌しべだけです。条件がよいとこんなに群れて生えることもあるんですね。ぺちゃくちゃと何だか「静か」な雰囲気ではないような気がします。 (2014.4)
竹伐採が早く終わったので、寄り道をしながら帰りました。根岸の公園でイイギリが見事な実をつけていました。(左上)桐に似た大きな葉でご飯を包んだとかで飯桐。葉が落ちても実は残ります。相模原市の小倉山で自然樹を見ました。
右上のクロガネモチ(黒鉄黐)はたわわに着いた実が美しく、公園や街路樹に植えられます。枝が乾くと鉄色になります。暖地では自生しています(次のセンダンも)。
左下はセンダン(栴檀)、春にやさしい紫色の小さい花をたくさんつけます。これも落葉後、実が樹上に残ります。「栴檀は双葉より芳しい」のはビャクダンで、センダンは香りません。
薬師池公園の入り口に和菓子のような実がたくさん下がっていました(右下)。サネカズラ(実葛)でつる性の木本です。樹皮から粘液をとって整髪に使ったのでビナンカズラともいいます。樹に絡んで這い上がると実をよく着けるようになります。 (2013.12)
秋はキノコの季節、町田の里山にもいろいろなキノコが生えてきます。シロオニタケ、特徴がこのくらいはっきりしていると同定に迷うこともありません。
菌類は他の生物またはその死骸に寄生しています。キノコは宿主に菌糸を延ばしていて、ある時期に菌糸が束になって独特の形を作って人の目に触れるようになります。そして胞子をまき散らして増える作戦です。
食べられるかどうかは経験豊かな人に聞くのが確実です。図鑑で調べただけで食べるのは危険です。因みにシロオニタケはよく分かっていません。毒ではないようですが、食用にもしていません。(2013.12)
ホタルブクロ(キキョウ科)は里山で普通に見られる植物です。学名(属名)は Campanula で鐘を意味しています。かつて子どもたちが花の中にホタルを入れて遊んだのが名前の由来と考えられています。町田のような低地では淡い紅紫色ですが、山地では色の濃い花が多くなります。
よく見ると花の付け根にある、緑色のがく(萼)片の間に付属体があり、それが反り返っているものと、付属体のないものとがあります。付属体があるものをホタルブクロ(写真下左)、ないものをヤマホタルブクロ(写真下右)として区別されています。混在しているので、一つ一つ確認しなければなりません。
同じ属に園芸種のフウリンソウ、高山植物のチシマギキョウ、イワギキョウがあります。(2013.6)
市内の里山で見慣れない植物を見付けました。ギンリョウソウの仲間でシャクジョウソウです。落ち葉を分解する菌に付く腐生植物です。葉緑素はなくギンリョウソウは純白なのに対して薄い茶色をしています。全国的に分布していますが、滅多に見られない植物です。150m程の低地で、意外な発見でした。栽培不可能です。(2013.6)
今年の桜は気が早く、尾根緑道のさくらまつりは中止になりました。ソメイヨシノなどのゾーンに続いて八重桜のゾーンがあります。薄緑色のサクラが一本あります。ギョイコウ(御衣黄)と名付けられた栽培品種です(左上)。これより色が薄く淡黄緑色のウコン(鬱金)を見たいと思っていたら、山崎町・簗田寺の近くの農家の庭に立派な木がありました(右上)。
本町田小学校の校庭の一隅にウワミズザクラの大木があるのに気がつきました(左下)。総状に沢山の花を付けます。近縁のイヌザクラ(右下)も咲き始めました。これは相模原市の東大沼で撮影しました。花序の柄に葉がないのが、はっきりした区別点です。(2013.4)
図師坂下日影公園のいわば奥の院は管理の手が行き届かない事が幸いしてか、ネジキがあります。5メートル前後の小さい木で、樹皮がねじれるのが特徴です。やや近縁のアセビと同様に毒があり、動物は食べません。丘陵や山地の尾根筋を好むとされています。
林床には多摩丘陵特有のタマノカンアオイが生えています。春に落ち葉の下で地味な花を咲かせます。シュンランも僅かに残っています。エビネもあったのですが、花を見た翌年にはなくなっていました。カシワバハグマやヤブレガサなどもひっそりと生き残っています。
タイトルを付けて守る運動も大切ですが、何と言うことのない自然をそっとしておいてもらいたいとも思います。(2012.11)
今年も三ツ目山公園の除草作業を担当することになりました。広い南面の草地には雑草がのびのびと育っています。定期的に除草しているので、生えてくる植物は毎年同じではありません。伐採に強い繁殖力旺盛な植物が主になってきます。一つ一つの花は地味でもまとまると景観としては美しさを呈するようになります。貴重なものでもないので、刈払いの対象になってしまいました。
左上:オオジシバリ、ジシバリ(イワニガナ)もありました。地縛りの名の通り地表に広がります。右上:コバノタツナミ、小さい花が立っています。泡立つ波に見立てて立浪草といいます。左下:シロツメクサ、クローバーとして知られています。かつてパッキングに使われたので詰め草と。四つ葉は幸せの印。右下:ムシトリナデシコ、茎の葉が出ている下の部分が粘ります。それで虫取りと、効果は疑問です。(2012.5)
横浜市水道局の相模原沈殿池に集まる水鳥その2 上段はヒドリガモ 灰色の嘴の先は黒いのが特徴です。左が雄で、頭から首が茶色で、頭頂は淡色です。雌は地味ですが、他のカモよりやや赤みが強く、嘴は雄と同じです。
境川でもおなじみの左はコガモの雄、右はマガモ雌雄です。コガモは名の通り小形で、雄の頭は緑と茶色のツートンカラー、ピーピーと可愛い声で鳴きます。マガモの雄は嘴が黄色で、雌の嘴は灰色で縁が橙色です。マガモを改良したのがアヒルです。区別しにくいこともあります。
相模原市の下溝に横浜市水道局の相模原沈殿池があります。相模原公園の向かいです。バードウォチングのポイントとしても知られています。久しぶりに訪れた1月始め、数は多くなかったものの5種の水鳥を観察できました。ここでは境川や恩田川では見られない潜るカモなどが来るので楽しみな所です。右のオオバンは全体が黒く地味な鳥ですが、くちばしと鼻筋が白く目立ちます。
これはキンクロハジロ、左が雄、右は雌です。なかなかおしゃれな鳥で、名のとおり雄は黒と白のツートンカラー、金色の目、頭の後に飾り羽(冠羽)があります。雌は色のコントラストが弱いので区別できます。潜水ガモの代表選手。
相模原市の津久井でマダケが開花しているというので連れて行ってもらいました。竹は花を咲かせると地上部分は枯れてしまいます。(右の写真)1960年代に全国的に開花しているので、近年の内に各地で花が見られるかもしれません。50年ぶりになります。花はイネと似た構造で、花びらはなくおしべの葯が外に出ています。お米のような実が出来ます。
小山田農地の周りにはハチクやマダケが生えています。一見花とも見紛う写真のような枝が無秩序に多数出ている株がいくつもあります。これはAciculosporium take Miyake といわれる病原菌によるテングス病です。放置されて密集し荒れた竹林で発生しやすいとされています。はびこると枯れたような状態になり竹林が衰弱していきます。伐採して燃やすのがもっとも良い対策とされています。町田市をはじめ、各地で猛威をふるっているようです。
珍しいという程ではないにしても、探しにくくなった仲間たちに出会いました。舞台は除草作業をした三ツ目山公園と石阪竹林です。左はヤマホトトギス。庭にも植えられるホトトギスより紫色の斑点が少なく白い感じです。花びらが下に反り返るのが特徴。右はツリガネニンジン。名の通り可愛い釣り鐘がいくつも下がって、葉も花柄も輪生しています。珍しく美形の株がありました。若葉は山菜トトキとして知られていますが、町田では食べるほどは生えていません。
左はコバノカモメヅル。蔓性の草で他の草に絡んでいます。濃い紫色の合弁花ですが、深く裂けプロペラのようにややねじれている姿は忘れられません。残念ながら刈られてしまいました。右はフジカンゾウ。蔓性のマメ科植物ですが、似た仲間がいくつかあります。比較的花が大きく、サングラスのような実をつけます。たくさんまとまって生えていました。
ヒルガオ(左):残暑にめげず、フェンスや街路の植え込みによく育っています。朝顔と違って色の変化はほとんどなく、淡紅色の漏斗状の花を咲かせます。よく似たコヒルガオも普通で、葉の先が鋭く、花柄の上部にひだひだがありことなどで区別しています。
サツマイモ(左)も同じヒルガオ科の仲間です。関東では開花することはほとんどないのですが、野菜の花としては結構きれいな花を咲かせます。毎朝咲いて昼にはしぼんでしまいます。同じグループで小さな赤橙色で芯は黄色の花をつけるマルバルコウもあちこちでよく見かけます。江戸時代に渡来したとされています。
梅雨時に似合う一日花のツユクサ。3枚ある花びらの内2枚が大きく、清楚な感じのする青色が美しい。仮雄しべの先端が黄色く、花びらの青とのコントラストが目立つ。アオバナとか古名ツキクサとも言われ、親しまれている。
右のホタルブクロもよく知られている。かつてこの花にホタルを入れたところから名がついたという。仲間にヤマホタルブクロがあるが、よく似ていて区別しにくい。環境によって色の濃さが違う。概して低地のものは淡色である。
左はこれも分布の広いヘクソカズラ。蔓性の雑草で、悪臭がするのでつけられた名もひどいと感じる人もいて、花の中心がお灸の痕に似ているとしてヤイトバナの別名もある。
右はヤブカンゾウ、花は八重咲きになる。仲間のノカンゾウは一重咲き。ともに若葉はくせのない野草として知られている。「萱」は憂いを忘れる意味があり、ワスレグサの別名がある。
6月にまたミズキが咲いている?よく見ると葉や枝が対生していて、これはクマノミズキ。花もよく似ています。花びらが反り返っているのが違いでしょうか(バックナンバーで見比べてください)。 ”クマノ”はあまり意味がないらしい。
右はムラサキシキブ。庭によく植えられているのはコムラサキ。気がつきにくいのですが、近寄ってみると小さいながらきれいな花を咲かせています。秋に紫色の実をつけます。山のムラサキシキブは栽培種に比べると実付きがよくありません。
薬師池近くのコンビニのそばに大きなセンダンの木があります。10本の雄しべがくっついて筒状になっています。実は葉が落ちても枝に残っています。薬用にされます。「双葉より香しい」栴檀とは関係なく、語源は不明です。
右はテイカカズラ。蔓植物は木に絡んで上に伸びると元気になりよく開花します。古歌にも登場します。愛する定家の墓にまつわりついたなんて伝説があります。花びらが巴形をしているのが特徴で、よい香りがします。
5月になるとおなじみの樹木の花が咲き始めます。左のミズキは遠目にも樹冠が白くなり目立ちます。大木ながら小さな花がたくさん集まっています。近寄ってみると花びらも雄しべも4つあることが分かります。春に切ると水がしたたることから水木。秋に6、7ミリくらいの丸くて赤ないし紫がかった黒い実がなります。右はエゴノキ、下向きに白い花をたくさんぶら下げています。地面を敷き詰めたように落ちた花で見上げると気がつきます。子どもの頃若い果実をつぶして川にいれ、気絶して浮き上がった魚を捕らえて遊んだ経験を思い出す人もいるでしょう。
大地沢の青少年センターにジャケツイバラがあります。町田では多分ここだけにしかありません。派手な黄色い花で山の中に咲いていると目立ちます。蔓性の植物でとげとげの茎が木に蛇のように巻き付いています。イバラといってもマメ科に分類されています。右は北アメリカ原産の tulip tree。文字通りチューリップの形をした花をつけます。街路樹としても植えられていますが、剪定されるせいか花がつきません。国際版画美術館の前にある並木で毎年見ることが出来ます。大木なので見上げないと気がつきにくい花です。葉がやっこさんのような形をしていてハンテンボク(半纏木)の名もあります。 ⇒ 全体像の写真
東日本大震災の影響で延び延びになっていた炭焼き作業が再開した農園には、これも遅れがちな春が訪れていました。普段は雑草として片付けられてしまう植物に思いっきり近づいてみました。小さな花もきちんとした構造を持っていることが分かります。左はナズナ、ペンペングサとして親しまれています。アブラナ科で花びらは4枚、実の形が三味線の撥に似ています。右はハコベ(コハコベ)で、ナデシコ科で5枚の花びらがそれぞれ2つに分かれているので10枚あるように見えます。ともに春の七草として知られています。身近なハコベの仲間にはコハコベ、ミドリハコベ、ウシハコベがあります。
左はヒメオドリコソウ、畑地などにしばしば大きな群れを作って生えています。葉の陰からこっそり覗くように小さな花を咲かせています。シソ科。また、普段はほとんど気がつかないイグサ科のスズメノヤリ(右)が土手の斜面に咲いています。この仲間は花びらがなく葯が外に出た姿で満開です。それにしても「雀の槍」のネーミングは人間が自然ともっと密接な関係を持っていた時代があったことを思わせます。 ⇒ 全体像の写真
水田の強雑草で、NHKのテレビではスーパー雑草として紹介されました。農薬にも強く、繁殖力も旺盛で、各地の水田で広がっています。コウホネ(左)の栽培種はクワイでおせち料理に使われます。マルバオモダカやヘラオモダカは東京都の絶滅植物です。逆に外来種のナガバオモダカは野生化し、鶴見川の源流池でも見られます。コナギ(右)は近縁のミズアオイ(水葱-古名ナギ)とともに万葉の時代から知られ、食用にもされました。夏、葉に隠れるように紫色の花を咲かせます。
左はコウホネ(河骨)、根茎が骨のように見えるので命名されました。水中葉と浮葉と水上葉の3種類の葉をつけます。自然では稀で、薬師池で保護されています。尾瀬にあるオゼコウホネはめしべの上部が赤くなっています。右のアサザも万葉の時代から知られ、食用にもされました。絶滅危惧種で、薬師池公園と小山田緑地のアサザ池で見ることができます。
地面から何本も付きだした奇妙な植物を見つけました。葉緑素を持たず、ナラタケと共生する腐生植物です。太いコナラの根元に生えていました。まっすぐに伸びた茎は1メートルにもなることがあります。いかにも鬼が使った矢の柄を思わせます。日本では広く分布していますが、町田の里山では嬉しい出会いでした。
地下に塊茎があり、この時期に葉のない茎を伸ばし、2~30個の花を咲かせます。
右のサイハイラン(采配蘭)も変わったランです。側弁が横に広がらず前に突きだしています。あまり開かない花も同じ方向に付き、武将が使った采配を思わせます。暗い林の中で咲いていました。葉は花が咲く頃に枯れ始めます。
花が穂状に重なった様子をかつての女官の衣装に見立てて名がつけられました。日本の固有種です。町田ではジュウニヒトエが生える環境が少なくなっています。田中谷戸では開いた土手の斜面に群生し始めた様子が観察されました。来年以降が楽しみです。庭によく植えられている花色の紫が濃い同名の植物は「セイヨウジュウニヒトエ」(上右)です。
シソ科には仲間が多く、ホトケノザ(下左)、ヒメオドリコソウ(下中)、カキドオシ(下右)、キランソウなどは畑や空地に広く分布しています。春の七草のホトケノザはキク科のタビラコとされています。
山野に自生するサクラは10種足らずですが、多くの栽培品種が植えられています。八重咲きのサクラも尾根緑道にたくさんあります。花期は品種によって違い、長く楽しむことが出来ます。花も長持ちするようです。関山(カンザン)は花色が濃く、重厚な感じがします(左)。白妙(シロタエ)は清楚な雰囲気を持っています(中)。普賢象(フゲンゾウ)は雌しべが2本あり、その形を普賢菩薩の乗っている象の鼻に見立てて名がつけられました(右)。その他、関山より色白の楊貴妃は妖艶なサクラです。 [100401]
在来種のカントウタンポポ(左)と比べると、セイヨウタンポポは総苞片が外側に反り返ります。外来種のセイヨウタンポポは繁殖力が強く在来種を駆逐しているとも言われます。よく見ると在来種もどっこいあちこちで生えています。しかし、見かけの在来種はほとんど外来種との雑種であることが分かってきました。自然は複雑です。タンポポは仲間が多く、アカミノタンポポは種子がやや赤く、関西以西ではシロバナタンポポが多く、「タンポポは白い花」が常識になっているそうです。最近背の高い、タンポポに似た花をつけるブタナ(右)を見かけます。茎が途中で枝分かれしています。 [100301]
里山は「冬ぞ寂しさ まさりける」ことはありません。植物は春に備えて冬芽を用意しています。タラノキ(左)のように硬い芽鱗に包まれて寒さをしのいでいるものもあります。ムラサキシキブ(中)は薄着で裸芽といわれ、クロモジ(右)は葉芽の脇に花芽を用意しています。冬芽は大小さまざま、形もいろいろ、葉の落ちた痕(葉痕)と合わせて角度によっては人の顔や動物の顔に見えたりして面白く、冬の里山の楽しみです。「春よこい、早くこい・・・」、ウグイスカグラは待ちかねて、1月にはひっそりと小さいピンクの花を開いています。 [100201]
寅年に因んでトラのつく植物を探してみました。相模原市立博物館に収蔵されている4万余の標本の中に18種ほどありました。すべて「トラノオ」が付いています。町田の里山で見られるのはオカトラノオです。昆虫ではトラカミキリとかトラフシジミの名が思い当たります。この植物がなぜ虎のしっぽを連想させるのかは分かりません。イネ科にはネズミノオという植物があり、いかにもそれらしいネーミングです。昔の人は、キリンやゾウのようにまだ見たこともない動物のイメージをふくらませていたのかもしれません。かくして大晦日の夜は中途半端に更けていきました。 [100101]
ウメモドキ(左)は庭木としてよく植えられています。本来湿ったところを好む植物で、小山田農地の脇にありました。赤い実が落葉した後も残り美しいので好まれます。葉がウメの葉に似ています。中央はツルウメモドキで、黄色い果実の皮が割れて赤い種子が覗きます。花材としてもよく使われます。ウメモドキと並んで植えられていました。同じモチノキ科の仲間にソヨゴ(右)があります。庭木として植えられます。赤い実が下向きにつきます。町田駅前の通りの街路樹としてエンジュの間に何本かありますが、気がつきにくいですね。近縁の種類にクロガネモチがあり、これは赤い実を上向きにつけます。小川3丁目に見事な並木があります。 [091029]
きれいな名前をもらった植物です。庭などによく植えられているのは中央のコムラサキです。実つきがよく色も鮮やかです。山に自生しているのは左のムラサキシキブで、三つ目山公園にもたくさんあります。ただ、木が大きくならないと実がつきにくく、色も地味な感じがします。もう一つヤブムラサキ(右)が図師の山にあります。葉を触るとビロードのようです。果実は下側につき萼片に包まれているのが特徴です。(クマツヅラ科) [091024]